資産形成はできるだけ早く

私はある程度の資産形成をするには、不動産でも株式でも投資は絶対必要になると思っています。大体のごく普通のアメリカ人は社会人になって、職種に関わらず、大企業でなくても普通に人事のある中小企業で、正社員かもしくは一定の時間を働いているパートタイム(パートの場合は多分1年以上勤務とか制約があると思いますが)だと、401(k)制度つまり企業型確定拠出年金制度を提供してくれる会社であれば、それを活用して投資を始めることができます。

そして401(k)制度を利用さえすれば半強制的に59.5歳まで、長期投資を続けていくことになります。日本在住の方で、もしご自身が勤めている会社にその制度があれば是非利用してください。401(k)制度を特に考えることなく利用していたアメリカ人が、株式投資における複利の効果を知らずに退職間近の年齢になって知らない間に資産が増えていたなんていうのは、こちらではよく聞く話です。

アメリカ在住の方でしたら、401(k)制度がある会社で働いていると、1年に1回の福利厚生の見直しの時期に、自分で401(k)を許諾しないと選択しない限り通常なら自動的に加入しているはずです。でも私がパートで働いていた時に、なかには401(k)という制度自体を知らない若いアメリカ人や、外国人もいました。実際私がその制度を教えてあげるまで知らなくて、会社から給与明細で天引きされていた現金だけが401(k)の口座にあったという子もいました。アメリカ企業は、福利厚生や雇用される側の権利はしっかりとあって資料もまとめてど~んとくれますが、結局自分で調べないと会社側は何も教えてくれないというところが多いです。必要な書類は全部渡したから後は全部自分で読んで、自分でしなさいよ、という感じです。受け取った福利厚生の資料をよく読むと、結構色々と便利な条件を見つけたりもするので、こちらで働いている方は一度じっくり読むのもおすすめです。

突然のリストラ、子供の大学にかかる費用、高い医療費、年老いてからの自分達の介護費用、とにかく資産運用を早く始めていないと、今のアメリカでは何がきっかけて負債が始まるかわかりません。とくに私達50代60代は、アメリカではサンドイッチ世代と呼ばれ、子供の学費と介護の必要になった親の手伝いとの間にはさまれる可能性もでてきます。もしも親が十分な資金を持っていないと、本当に首がまわらなくなることもあります。

アメリカの大手資産運用会社のフィデリティが言うには、大事なのは子供の教育費援助でもなく、親の介護の手助けでもない、まずは自分の資産をいかに手堅く守っていくかにあると。資産運用のその記事の中では、make sure you put your mask on firstと言っていました。これは飛行機での非常時のルールと一緒です。飛行機では非常時に酸素マスクが上から落ちてきますが、そのルールはまずは自分にマスクを一番最初につけなさいと教わります。でないと、助けたくても他の人を助けられなくなるからと言われています。というのも、体内の酸素飽和レベルが下がったとき、低酸素症になり始め、基本的な人間としての機能が完全に停止していくからだそうです。ほんの数分の間で、ごく普通の理性的な人間が、物の形も判別できない、手も動かせない、自分の身を守ることさえできない別人へと変わってしまうそうです。これがきっとファイナンスの状態でも同じだということなんですね、自分のファイナンスの状態がしっかりしていないと、いざ助けたいと思っても、思考がうまくまわらず適切な判断ができなくなったり、他の人を助ける余裕もなくなるからだそうです。

親の介護の金銭的な手伝いとなると、親がもし低所得者でもなく、そして超お金持ちでもなく、所謂ミドルクラスと言われるアメリカ人であればアメリカはかえって政府から大した援助もでないので大変になります。アメリカの介護にかかる費用は、驚くほど高い子供の大学費用と比べても、それより更に高いです。中流のアメリカ人家庭は、子供の大学費用がやっと終わり、「やったー!」と思ったのもつかの間、今度は子供に迷惑をかけないように自分たちの介護費用を考えないといけません。我が家は実際に義理の父や義理の父の兄弟の家庭の介護費用にどれだけかかるかを見てきたので、その恐ろしい現実を割と早めに知ることができました。

寝たきりになっても、日本のように地域包括センターがあるわけでもなく、ソーシャルワーカーが来て便利な情報を教えてくれるだけで、残りはほぼ全て自己負担か、保険が少しカバーしてくれるだけです。介護つきの老人ホームは勿論有料ですが、カリフォルニア州では月に7000ドルくらいだして、普通の感じです。子供の大学費用はきっちり4年で終わりますが、介護費用はその先どのくらい必要になるのか先が見えないぶん、心理的にもやはり負担が大きくなります。

だから、夫婦のうち配偶者のどちらかが日本人家庭や、長くこちらに住んでいた日本人家庭が今、日本に引越しを考えているというのも実はよくわかります。90年代の日本は、アメリカ側からすれば何もかもが高いというイメージがありましたが、今は逆転しているからです。でも最近日本も株価があがってきて、こちらのニュースでも日本ようやく経済復活という話もききますが、社会保障制度は日本がしっかりしているので、将来医療費や介護費の点でアメリカのようにお金がかかるようになるかもしれないとは今の時点では到底思えません。

話はかわりますが、アメリカとあと他の国に不動産を持っている資産家の友達家族と先日一緒にランチをした時に、今回初めて「日本で不動産投資どう思う?」と聞かれました。私は正直不動産投資は全然わからないので、「経済復活っていう話は聞くし、外国人が不動産投資してるっていう話も聞くけど、正直不動産はわかんないわ~」と答えましたが、日本の不動産や株式投資に興味をもつこんな外国人も実際増えています。

さて、この彼だって私達と同じ、若い頃は貧乏でした(まぁ、どっちがより貧乏だったかはわかりませんが、多分我が家のほうが貧乏だったと思うけど、どうだろう貧乏合戦、笑)。私達みたいに普通に貧乏だった人間でも、投資をすることによって、そして時間を味方につけることによって、そういった生活から抜け出せます。我が家は株式投資、彼の家は主に不動産投資。とにかくSNSから頻繁に流れてくる自分たちとはかけ離れた生活を謳歌している映像には惑わされず、詐欺には惑わされない。

地味でもなんでも、確実に資産を増やすのは、まずは固定費の見直しをする、節約をして収入の中で生活する。そして収入の中から先にpay you firstで収入の何割かをとりわけて貯蓄にまわす。貯蓄するのは、その貯蓄を株式でも不動産でもビジネスでも投資のためと思考をかえる。思考をかえて、とりあえずやってみる。そして続ける。

このやってみる、ということ。

私の好きな菌類学者でポールスタメッツさんという方がいます。彼は菌類が好きで独学で菌類学を学んで極めた人なのですが、彼のビデオのひとつに「The fact is I tried, how many people are not trying」という言葉があります。

「自分は少なくともやってみた。でも一体何人の人がやろうとしないのか」

これははっきり言って投資とは全く関係のない、自然や環境に対して自分たちの考え、つまりパラダイムシフトを起こす呼びかけのビデオですが、その時、「あ、この言葉本当だな」と思いました。投資に対してだけでなく、なんに対してでもそうですが、やってみるということの大切さ、これは何にでも言えるんだなぁと。

長い人生です。気になることはとりあえずやってみること。でないと、やってよかったのか悪かったのかは、永久にわからないまま終わってしまうからです。