アメリカの中間層

アメリカはコロナ以降、経済がK字型で回復をしていると言われています。

ワールドエコノミックフォーラムから借りてきたこのK字のイラストですが、文字「K」には 2 本の線があり、1 本は上昇し 1 本は下降します。K 字型の回復では、一部の業界やグループが回復する一方で、他の業界やグループは苦戦します。

K字型回復では、経済が改善しているように見えても、実は全ての人、全ての企業が平等に恩恵を受けているわけではないということになります。実際、アメリカで資産を持つ家庭は、株価上昇の恩恵、不動産価値上昇の恩恵をうけて、ますます裕福になっていく一方で、低所得層はそういった資産上昇の恩恵は受けずに、物価の影響だけを受けます。

では、富裕層というか高所得層にも入らない、低所得層にも入らない、いわゆる中間層ってどのくらいいるんだろうとふと思ったので、今回はアメリカで、いわゆる中産階級とも言われる中間所得層のことなどについてお話しします。


さて、家のお財布もしっかり握っている長期投資家主婦の私は、スーパーでのお値段も、ガソリン代も、外食費にも、いわゆる出費とよばれるものにはかなり敏感です。車の保険も家の保険も、大きな出費も色々と値段を比べてから購入します。

生活していくうえで必要な食費となると、スーパーでの野菜や果物、シリアルの値段は下がってきていても、パンやお肉や牛乳の値段はまだそうでもないな、と値段をチェックします。ここ最近は、日用品ならクーポンを使えばかなり下がってきています。でも先日ホームデポに行った時は、外の水道の蛇口を直す部品の値段が1.5倍くらいになっていたのには驚きました。また、園芸好きの私はスコップやフォークの値段、肥料の値段、野菜の苗の値段もあがったままになっていることに気が付きました。アメリカで暮らしていて、物価は正直ちょっと高いなぁと思いますが、一時期に比べれば食料品やガソリン代などの値段は落ち着いてきています。それでも、一般家庭の全体的な生活費はコロナが始まる前に比べれば、いまだに高く感じるというのが、正直な感想だと思います。実際、家の保険や車の保険が大幅に値上がりしているからです。


さて、アメリカのミドルクラスが実は減ってきているという話を私の読む経済記事などでも見たりしていたのですが、じゃあ実際どのくらい減っているんだろうと思って、今回も私がよく利用するワシントンDCに拠点を置く無党派のアメリカのシンクタンクで、アメリカと世界の社会問題、世論、人口動向に関する情報を提供しているピュー・リサーチセンターの報告を調べてみました。

データーでは1971年ではアメリカの全人口の61パーセントは中所得の階級といわれる家庭で占められていたのに対し、2023年には51パーセントに低下したということです。そして中所得の階級が縮小しているのは貧困層が増えているからだけではなく、富裕層ともいわれる高所得層が増えているからでもあるということがわかりました。

いわゆるこの増えた高所得層部分がK字型回復で現在アメリカ経済を牽引しているとも言えるかもしれませんね。というのも、米国経済分析局によると、2024年第1四半期の個人消費支出は、米国経済の規模を測る主な指標である国内総生産(GDP)の約68%を占めているという結果になっているからです。下のグラフは連邦準備銀行の経済データーからで2019年からのアメリカのGDPの成長を表しています。

以前、アメリカ人は所得が高くてもpaycheck to paycheck、つまり毎月の給与でぎりぎりの生活をしている人がいることをお話ししましたが、ここの高所得の層、つまり年収が$250.000くらいのアメリカ人の1/3くらいが、本当に毎月ぎりぎりの生活で過ごしているのなら、かなりの消費をしているはずだからです。

このぎりぎりの生活をしている高所得者の実際の消費の内容はわかりません。もしかしたら、学生ローンをまだ払っているのかもしれないし、この給与だから払えると思って購入した家の毎月のローンがものすごく高いのかもしれない、もしかしたら、ここの層が高級な衣服や鞄やバッグ代にお金をつぎ込んでいるのかもしれません。このアメリカで増加している高所得者層が、実際にそれだけお金を使っているなら、アメリカのGDPを支えているのは昔から中間層の支出だと長く言われていましたが、もしかすると、中間層から移ってきたこの今の高所得者層がかなり手助けをしていることになります。

ちなみにのグラフですが、画面向かって左側がアメリカの一人当たりの国内総生産、GDPのグラフとなり、向かって右側はアメリカの国内企業の時価総額の変化ですね。すごいですね、アメリカのこの経済成長。

そしてここで中流階層、中所得層に入る条件なのですが、ピューリサーチセンターでは全国世帯年収の中央値の3分の2から倍くらいまでの層を、中間所得層、もしくは中間層として入れているということです。アメリカでは州や地域によっても生活コストが随分異なるし、世帯の大きさによっても異なるからという注意書きがありました。

こちらの調査はアメリカコミュニティ調査、いわゆるACS、The American Community Surveyと、人口調査の年次社会経済サプリメント、いわゆるCPS、the Current Population SurveyのなかのASCE、Annual Social and Economic Supplement、と両方のデーターを使って集めているようです。
ここから先は長いので、アメリカコミュニティ調査はACS、人口調査の年次社会経済サプリメントはCPS ASCEでいきます。

ACSとCPS ASCEは調査データとしてよく使われますが、ACSは現在ではアメリカ最大の世帯調査ともいわれて、特に地方コミュニティについて、さまざまな地理レベルで情報を提供するようなデーター収集になっています。そしてCPSのほうは詳細な質問票と経験豊富なインタビュースタッフにより、多くの社会経済的および人口統計学的特性の推定値を作成するために使用されます。ここで調査方法を説明するとすごく長くなるので、もし詳しく知りたい方は、アメリカのセンサス、国勢調査からのサイトにふたつの調査に関するファクトシートがありますので、ご自身で検索してください。

さて、ピューリサーチセンターは中間層の割合を出した時に、両方のデーターを参照に使っているわけですが、それは地元の生活費などにあわせた世帯の年収を調整するためだったりもするそうです。2023年のACSのデーターでは、世帯年収ですが3人世帯で中所得世帯の年収は62000ドルから187000ドルの範囲としたそうです。その下が低所得、そして187000ドル以上だと高所得としたそうです。そしてASCEの3人世帯で中所得世帯の年収は61000ドルから、183000ドルとしたそうです。低所得は61000ドル未満で、高所得は183000ドル以上だそうです。どうですか、アメリカ在住の皆さん、3人世帯の所得でみたら、自分の世帯がどの層に入るか気になりますよね。ちなみに我が家は給与年収だけでいくと中間層です。みなさん、我が家のように中間層でも投資をすることによって資産は増えますよ

そしてインフレを調整したあとの1970年と2022年とで収入の違いを表したのがこちらのグラフになります。

経済の成長と同時にアメリカ人の所得が明らかに増えているのがわかります。でもこのグラフをみると高所得層の所得の割合の方が、かなり増えていることがわかります。78パーセント増加ってすごいですよね。それに比べて低所得者の所得の増加は増えていますが、55パーセントの増加であって、高所得の年収の増加割合に比べると少しだけ緩やかなのがわかります。そして中間所得の割合は60パーセントの増加となっています。

アメリカでは割と多くの経済学者は、人口増加が経済成長にとって重要であり、そして歴史的には、中流階級はアメリカの経済成長と繁栄の原動力となってきたという意見を持っています。public policy(公共政策)で有名な Maurice D. Kugler教授は経済成長にとって人口増加よりも技術革新の方が重要だが、人口増加もその一部になり得ると述べています。 というのも人口増加が消費者需要の増加に結びついていけば、研究開発や新製品、新技術の導入に対するインセンティブがさらに高まる可能性があるからだそうです。でも、アメリカの国勢調査、センサスの報告によると、アメリカの人口は高齢化していくことがわかっています。こちらのグラフがセンサスからで、そして世代別にみるとこんな感じになっています。

このブーマー世代(1946〜1964)が高齢化していくと、通常貯蓄を切り崩して生活していくため、収入の面だけでみると、もしかしたら所得層の割合にまた大きな影響をおよぼすかもしれませんね。

今回はアメリカでいわゆるミドルクラス、中間所得層のお話しをしましたが、我が家のように給与年収が中間所得層であっても、投資をすることによって資産を増やすことはできます。もちろん、運がよかったんだよと言われればそれで終わりですが、投資をしていなかったら現在のアメリカのK字型回復の恩恵も受けておらず、物価高に苦しい思いをしていただけになっていたと思います。アメリカは毎年確実に物価は上がっていますので、それに不平を言って終わるかなんとかするかは自分次第になります。


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